きっと、君に怒られるだろうけれど



美桜がどう思っているかは別としてだけど。


持っていた飲み物をドリンクホルダーの中に入れてから折りたたまれている椅子を下ろして、座る。

すると、美桜が少し驚いたように目を見開いた。


「……嫌だった?」


その表情をみて、そんな言葉が口を突いて出ていた。


美桜は俺の隣は嫌だったよな。
せっかく好きな人と隣同士で座れるチャンスだったのに。


心の中で押し寄せてくる罪悪感に飲まれていると、


「嫌なわけないじゃん。ちょっとびっくりしただけだよ」


きっと不安が顔に出てしまっているであろう俺を安心させるかのように優しく目を細めて笑った。


「そっか。なら、よかった」


単純な俺は都合よくその言葉を信じて、笑顔を返した。
映画館の座席の距離が近いことはわかっていたけれど、好きな人が隣だとこんなにも近く感じるんだ。

少しでも手を動かせば当たってしまいそうな距離に鼓動が早鐘を打ち始める。