きっと、君に怒られるだろうけれど



『今度はいい感じに撮れたよ』

『いいじゃん。これ俺に送って』


────あの日、世界が夜に落ちていく中でわたしは君に恋に落ちた。

君と一緒に世界の一部を見たことで、見過ごしていた世界の美しさをわたしに気づかせてくれたんだ。

それからわたしたちは学校でも話すようになり、仲を深めていった。

誰にでも優しくて、真っ直ぐで、いつもお日様のように笑っている君の存在が心の中で大きくなっていくたびにわたしはその想いを丁寧に、大切に育てていたのだ。





「好きだと言い合えることって奇跡だったんだよね」


写真をじっ、と見つめながらぽつりとこぼれた言葉。

もう一瞬、一秒を無駄にしたくはない。
この時を逃してしまえばもう二度とこの時間には戻れない。

戻りたいと泣いて喚いても時間は戻ってはくれない。

このまま時が止まって欲しいと思っても止まってはくれない。
わたしたちと一緒に寄り添ってはくれない。

だからこそ、家族、友達、恋人、自分の大切な人と寄り添う時間を無駄にしてはいけないのだ。


「もっと好きって言えばよかったなあ」


こうして、後悔が心の中に募る前に。


―――全ては、君のためについた嘘だった。