『おい、どうしたんだよ!』
『三春くんの撮った写真があんまりにも優しくて……わたし何も知らないまま生きてたんだなって……っ』
声を詰まらせながら音を紡ぐと、三春くんの大きな手がわたしの頭を優しく撫でた。
ああ、三春くんってやっぱりみんなが言うように優しいんだな。
こんな話したばかりのわたしにも優しくしてくれるんだもの。
見上げた視線の先で、彼がお日様のようなあたたかい笑顔をわたしに向けていた。
その笑顔に心臓が破裂しそうなほどドキドキしてしまう。顔から火が出そうだ。
『世界にはさ、まだまだ俺が知らない景色がたくさんあるんだけど、こういう日常でしか見られない景色も俺は結構好きなんだ』
和やかな顔で目の前に広がる美しい世界をうっとりと眺めながら言った。
『ふふ、わたしは三春くんが切り取る世界がめちゃくちゃ好きになったよ』
わたしの言葉に彼は驚いたように目をぱちぱちとさせている。
だけど、すぐに屈託のない笑みを浮かべてゆっくりと口を開いた。



