『生きてるとさ、色んなことがあってしんどいかもしんないけど、逆に生きてないとこーんなにも綺麗な景色も見れなければ、嬉しいこととか楽しいこともまったく感じられねえからな』
そう言って、彼は首からかけていた立派なカメラを構えるとピントを合わせ、カシャッとシャッターを切った。
わたしの目に映るその姿はまだ中学生だというのにやけに様になっていて、トクンと大きく鼓動が高鳴って体温が少し上昇したような気がする。
『そうだよね』
『美桜』
『え!?』
いきなり名前を呼び捨てにされて驚きを隠せずに声を上げて彼を見ると、またしてもカシャッとシャッターを切られた。
『へへ、不意打ち』
そう言って、カメラを顔から離して悪戯っぽく笑う。
『ちょっとやめてよ!絶対可愛くない!』
絶対にブサイクに映っている自信しかないから消して欲しい。
ていうか、不意打ちとか反則すぎるし、誰だっていきなり名前を呼び捨てにされたら驚いちゃうじゃん。
『大丈夫。俺が撮ったらなんでも可愛くなるから』
なんて、どこからそんな自信が湧いてくるのかは不明だけれど自信満々の様子で微笑んでいる。
『絶対、嘘だ!』
『嘘じゃないって。ほら』
そう言いながら、彼はカメラの画面を見せてくる。
そこに映っていたのはみっともなく口を開けて驚いている自分だった。



