きっと、君に怒られるだろうけれど



返事は家に帰ってからにしよう。
すぐに返事をしすぎても気持ち悪いかもしれないし。

なんて考えながら、帰路を歩く。

ローファーが地面とぶつかり合って鳴るコツコツという音もいつもは何とも思わないのに今なら明るい音に聴こえてくるから恋というものは偉大だ。


学校からわたしの家までは徒歩で15分程度。

本当はもっと近いところでもよかったんだけど、通学路に桜並木が見える場所がよくてここに決めたのだ。


「ただいまー」


鍵を開けて家の中に入っても、しん、と静まり返っているだけで返事はない。


当たり前だ。わたしは一人暮らしをしているのだから。

というのも、両親はわたしが中学1年生の時に事故で亡くなってしまった。

それから親戚の家でお世話になっていたけれど、高校入学を機に一人暮らしを始めたのだ。

ワンルームでも一人だからそれなりに快適に生活ができる。

少し前までバイトをしていたけれど、もう今はやめている。
両親が残していた貯金や今まで自分が働いて貯めたお金で何とかやりくりしている。

手洗いを済ませ、さっそく制服から部屋着に着替えると、わたしは力尽きたようにゴロンとベッドとの上に寝転がった。

そうだ。櫂に返信しなくっちゃ。
テーブルに置きっぱなしにしていたスマホを手に取って、画面を開く。