きっと、君に怒られるだろうけれど



すべての授業が終わって、家に帰るために下駄箱で上履きを脱いだ。
ローファーを取り出して履き、トントン、とつま先を鳴らす。

校庭に出ると、大きな桜の木がわたしを出迎えてくれてた。
見上げると、枝の隙間から夕日の光が漏れており、朝とはまた一味違ってた景色がわたしの目に映る。


「ほんと、綺麗だなあ」


桜を見ていると、あたたかくて、優しくて、わたしの複雑に絡み合った気持ちを溶かしてくれるのだ。
自分の名前に”桜”という漢字が入っているのも結構気に入っていて、名付けてくれた両親には感謝している。


さあ、のんびりしてないで帰ろう。

と、歩き出したところでピコンと電子音が鳴った。


立ち止まって、ポケットからスマホを取り出すと、画面に

《三春です!追加したからよろしく!》

というメッセージと共に猫が頭を下げているスタンプが送られてきている通知が表示されていた。


ほんとに追加してくれたんだ。

自分のスマホにもう一度“櫂”という文字が表示されていることに込み上げてくる喜びを隠しきれず、頬がだらしなく緩む。


ふふ、思わずスキップしたくなっちゃうな。


わたしはニヤニヤと頬が緩むのが周りにバレないようにスマホで口元を隠しながら再び歩き出した。