きっと、君に怒られるだろうけれど



はあ、恋って本当に面倒な感情だ。

君の反応一つで、飛び上がるほど嬉しくなったり、イライラして怒ったり、涙が出るほど哀しくなったり、心が躍るほど楽しくなったり、感情が大忙しになる。

だけど、それが恋であろうが何だろうが誰かを想うということに喜怒哀楽は付き物で、その時間や感情も含めてまるごとその人を大切に想っているという証なのだと思う。


「……気になる人は、いるかな」


しばらくして返ってきた答えに、息が止まるかと思った。

ちゃんと気になる人がいるのはよかったことだけれど、やっぱり少し複雑だ。

きゅっと胸を絞ったように悲しみが沸くのは見ないフリをする。


「そっか」


ちなみに誰?と尋ねる勇気は今のわたしにはなかった。

杉藤さんのことだろうか。
二人は幼馴染だから好き同士でもおかしくはない。

付き合う前の櫂の気持ちをわたしは知らなかったから。

この気持ちは押し殺して櫂の幸せのために頑張ると決心したはずなのにわたしはいつまで経っても臆病のまま。
そんな自分が情けなくなる。

二人の間から会話が消えて、先生の声だけが耳に届く。