きっと、君に怒られるだろうけれど



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「おはよう」と「おやすみ」
毎日、どちらともなく交わす言葉
何気なく繰り返される君との日常
この幸せが、温もりが、
この手からこぼれ落ちないよう
必死に抱きしめて今夜も眠りにつく

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付き合っていた頃に綴った幸せに満ちた文章が目に入り、手を止めた。

この時はこんなふうになるだなんてちっとも思ってもなかった。

当たり前にメッセージで、朝起きたらどちらともなく「おはよう」から始まり、夜眠るときは「おやすみ」で一日が終わって、そんなありふれた日常を繰り返せることがすごく幸せだった。

なくならないように、どこにもいかないように必死に抱きしめていたはずなのに、その幸せはこの手から簡単にこぼれ落ちていってしまったのだ。

メッセージじゃなくていつか、直接言い合えることを夢見ていたのに、それは夢のまま終わってしまった。

わたしが、悪かった。

今更、思い返して後悔したってもう遅いのに、わたしはまだ君との恋にすがりついてしまっている。