きっと、君に怒られるだろうけれど



「おー、そうだぞ。美桜はすっげぇいいやつだからお前も驚くぞ」

「櫂がそこまで言うなんて珍しいじゃん」

「そんなことねえよ」


二人が話しているところを見ていると胸がぎゅっと苦しくなって耐えきれなくなったわたしは窓の外へと目を向けた。

こんなんで辛くなってどうするのよ。

これからもっともっと苦しい思いをするのは目に見えているのに。


「……だから言ったのに」


前から声が聞こえてきてそちらに視線を向けると、またもや感情の読めない表情で西神がこちらを見ていた。

そういえば、前の席は西神か……。

とんでもない席になってしまったなぁ、と心の中でため息をついた。


「別にこれくらい想定内だよ」

「傷ついたって顔してるけど」

「気のせいじゃない?」


ムスッとした顔で見つめると西神は「まあ、別に俺には関係ないけど」と呆れたように鼻で笑って前を向いた。

コイツ……わたしの恋をバカにしやがって。