きっと、君に怒られるだろうけれど



「あれ?二人ってそんなに仲良かったっけ?」


頭上から降ってきたのは疑問に満ちた櫂の幼なじみである杉藤さんの声だった。


「あー、俺ら昨日運命的な出会いをしたから。な?」

「あ、うん。運命的かどうかはわからないけど」


同意を求めてわたしの方を横目で見てくるから運命的な出会いというのは否定し、それ以外はとりあえず合わせて返事をする。

杉藤さんはずっと櫂のことが好きだったと思う。

彼女の視線はいつも櫂に向いていたことにわたしは気づいていた。
でも、わたしと付き合ったから身を引いてくれたのだと思う。

今度はわたしが身を引く番かな。
杉藤さんとだったら、櫂も幸せになれるだろうし。


「へえー、そうなんだ。櫂が昨日、朝から探し回ってた子って小芝さんだったもんね」


そう言いながら櫂の前の席に腰を下ろす。

あ、席替えで櫂の前になったんだ。
これから何かと話すことが増えるかもしれない、と直感的に思った。