どんなに意識しないように心掛けても、好きな人を見るとやっぱり意識しちゃうものだ。
「櫂の隣だと目立つから寝れないじゃん」
「いや、寝る前提で話すなよ」
「授業聞いてたら眠くなるんだから仕方ない。ていうか、櫂の方が起きてる確率低くない?」
わたしは知ってるんだからね。
櫂の以前の席は、前から二列目の真ん中だったこともあり、わたしの席からだと普通に授業を受けていても否が応でも視界に入ってきていた。そして彼は大体、顔を伏せて眠っていた。
まあ、櫂って勉強得意じゃないし。
「げっ……気づかれてたかー」
櫂は顔をしかめて、わたしの隣の椅子に腰を下ろす。
「そりゃあ、わたしの方が後ろの席だったから」
「でも、今は隣だから美桜が寝てたら俺が起こしてやるよ」
「わたしが起こす側になりそう……」
「うわー、信用ねえな」
なんて、ケタケタと楽しそうに笑っている櫂を見ているとこちらも自然と頬が緩む。



