きっと、君に怒られるだろうけれど



「そうだなあ。実は今朝も無意識に撮っちゃったんだ」

「何を撮ったの?」

「怒らないでね。小芝さんのこと撮った」

「え?」


少し恥ずかしそうに目を伏せて言った彼。
今は関係ないことだけど、彼は睫毛が長かったことをふと思い出した。

というか、いつの間に撮ってたの?

怒るも何も驚きの方が勝ってしまっていて、怒りの感情がまるで湧いてこない。

いや、怒るつもりもないんだけれど。


「小芝さんが桜の木を見つめてるのがあんまりにも綺麗で気づいたらシャッター切ってたんだ。勝手に撮ってごめん」

「いや、ちょっとびっくりしただけで別にいいよ」


どんなふうに撮れたのかは少し気になるけれど。

見せてっていうのもなんか恥ずかしくて言えない。


「よかったぁ。俺もしかしたら怒鳴られるかもと思ってヒヤヒヤしてたんだよねー」

「わたしのこと鬼か何かだと思ってる?」


ムッとした顔で見ると、彼はクスクスと笑って肩を震わせた。

なんで笑うの!
わたしのこと、鬼みたいなやつだとか思われてたら結構ショックなんですけど。