きっと、君に怒られるだろうけれど



視界がじわりと滲んで文字がぼやけてくる。

その刹那、ぽたり、と瞳から溢れ出た涙がスマホの画面に落っこちた。


これが、俺に最後まで言わなかった彼女の本音。

そしてその本音をこのアルバムに込めたのだ。
本当は誰にも忘れ去られたくなんてなかったはず。

それでも、彼女は俺のために。


「美桜……っ、好きだ……っ」


もうここにはいない彼女を想って俺はアルバムを胸の前でぎゅっと強く抱きしめた。

俺は何度でも君を好きになる。

もし、来世で出逢えたとして、たとえ君が俺より年上だろうが何だろうがきっと君を見つける。

そして今度こそ、二人でずっと一緒に巡る季節を過ごそう。


***


校舎から出ると、今年も綺麗な薄紅色の花を咲かせた桜の木が出迎えてくれた。

最初に美桜を見かけたのもここだった。

俺は君に惹きつけられるみたいに目が離せなかったのははっきりと覚えている。


『春になったら一緒に桜を見よう』


その約束が叶うことはもう、ない。