これは俺と美桜の思い出が詰まったアルバムだ。
俺はこのアルバムに載っているほとんどの写真の出来事をまったく覚えていないのになぜか心に懐かしいという感情が湧き上がってくる。
写真は美桜が撮ったものも混ざっていたけれど、主に俺が撮ったものばかりで、その隣には必ず美桜が考えたであろう短文が綴られていた。
いつか俺が言っていたことを美桜は覚えてくれていたのかもしれない。
嬉しかった。
でも、同時にどうしようもなく寂しい気持ちになってしまう。
俺はこんなに多くの大切な思い出を何も覚えていないなんて。
美桜は一体、どんな気持ちでこれを作ったのだろう。
きっと、苦しかったはずだ。
しんどかっただろう。
それでも思い出を残してくれたのだ。
たとえ、俺に渡すつもりじゃなかったとしても。
胸がぎゅっと締め付けられながらも俺は何度もページを捲っていく。
最後のページは俺と美桜が見つめ合い、微笑んでいる写真だった。
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愛しい君と重ねた思い出に
名前をつけるなら、それは「宝物」
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