きっと、君に怒られるだろうけれど



思わず、肩を落とすと同時にため息がこぼれ出た。


フェイントかよ。無駄に緊張してしまっただろ。

ということは、左側か……?


ゆっくりと左側の本棚へと歩き出して視線を端へと向けた。

すると、明らかに一冊だけ学校で貸し出している本ではない薄い正方形の本が本棚に並べられていた。

他の本は背表紙にラベルが貼られているけれど、この本だけは何も貼られていないのだ。


これだ……!美桜が俺に遺したかったものは……!


俺は震える手でその本を本棚から抜き取った。
彼女が俺に遺したかったものは正方形の数十ページくらいの本だった。

きっとこれはアルバムのようなものかもしれない。

だって、表紙は中学の頃に俺が撮った街中にある桜並木の写真でその少し下にタイトルであろう【Nem'oubliez pas(ヌ・ムビリエ・パ)】という文字が印字されていた。


フランス語……?

どういう意味なんだろう。

今すぐ意味を調べたいけど、アルバムの中も気になるからあとにしよう。


そう思い、表紙をめくる。

目に飛び込んできたものに俺は驚きを隠せなかった。