わたしは言われるがまま、瞼を閉じた。
すると、息苦しさが消えて段々と意識が遠のいていく。
君の生きていくこの先の世界にもうわたしはいない。
思い出すこともない。永遠に忘れたまま。
だけど、それでいい。
君が苦しんで生きていくのはわたしの望むことではないから。
君との思い出はわたしが全部、覚えている。
何年経っても、何百年が経とうとも忘れはしない。
君に恋をしたことを、二人だけのかけがえのない時間があったことを、二人が想い合った日々があったことを忘れたくない。
だって、わたしが忘れてしまったら誰があの日々を思い出して大切にするの?
幸せだった日々を思い出して泣くのは簡単。
だけど、その日々を大切に思うことは難しい。
君にとってわたしはどんな存在だった?
わたしにとって君は世界で誰よりも幸せに生きていて欲しくて、何にも変え難い、大切な存在だったよ。
君にとって、わたしもそうだと嬉しいな。



