どうせ、わたしとの記憶も消えてしまうなら他の人と結ばれて幸せに生きてほしいと思ったのに、どうしてまたわたしを好きになっちゃうのかな。
神様は意地悪だ。
だけど、どれだけ残酷なさよならになろうともあの日、すべてを決断した自分の選択を後悔はしてない。
だって、櫂がここにいて、わたしを抱きしめて、生きてくれているから。
「美桜……」
「わたしの方が先にあの世に行くから、今度生まれ変わって会う時はきっとわたしの方が櫂よりお姉さんだね」
人は自分が生きた年数分は絶対にあの世で過ごさないといけないらしい。
だから、君より先に死んでしまうわたしは生まれ変わって生を受けるのも君よりも早いと思う。
たとえ、生まれ変わったとしてもまた君と出会える確率なんて数パーセントだろう。
もしかしたらそれよりも低いかもしれない。
それでも、もし出会えたとしたらわたしは年が離れていようときっと君を好きになる。
「嫌だ……っ、俺は生まれ変わりなんかじゃなくて今を生きて……三春櫂として小芝美桜だけを愛したいっ……」
「泣かないで。櫂が泣いてたらわたし安心して死ねないよ」
君には笑っていてほしいから。



