きっと、君に怒られるだろうけれど



だからお願い、わたしのことは記憶から消し去って。

そして、いつか出会う大好きな人と愛し合って世界中の誰よりも君が幸せであることを願ってわたしは逝くよ。


「いやだ。俺は美桜と一緒にいたい……!」

「無理なんだってば……っ!わたしはもうすぐ……いなくなるから!」

「好きなんだよ!何回だって言ってやる!俺は美桜が好きだ!大好きだ……っ!」


切なげに表情を歪ませて、ぽろぽろと大きな瞳から透明な雫をいくつも零しながら言う。

ふわり、と身体があたたかいものに包まれ、彼はぎゅっと強く、強くわたしを抱きしめた。

ほっとしてしまうくらいあたたかくて懐かしい体温にじわりと視界が滲んで涙の膜が張る。


―――ずっと、この人に触れたかった。


あぁ、このまま時が止まればいいのに……と叶いもしない願いを何度も心の中で願ってしまう。


「なんでまた好きになっちゃうかなあ……っ」


わたしだって、許されるのであれば“好き”だと言葉にしたい。

でも、ダメだから。


言葉にできない代わりにつぅっと頬を伝う涙は君への想いが詰まった雫。


君を幸せにするために自分の気持ちを殺して、計画だって立てたのに。