きっと、君に怒られるだろうけれど



そして、わたしは部屋の一番奥のパーテンションに引き寄せられるように歩みを進め、そこに飾られている作品が視界に映った瞬間、呼吸を止めた。


なんで……どうして……?


「……っ」


今までずっと隠し続けていた彼への叶うことのない想いが胸の奥から一気に込み上げてきて、それが涙となってわたしの頬を幾度となく伝う。


こんなの、ズルいよ。
わたしの決意が揺らいじゃうようなことしないで。

全部、全部、覚えていないのに。忘れちゃっているのに。


そこに飾られていたのは―――満開の桜の木を見上げて微笑んでいるわたしだった。


きっと、初めて話した日に勝手に撮ってしまったといっていた写真だ。

視線を写真から下にずらして、彼がつけたこの写真のタイトルを見る。


「うぅ……っ」


その刹那、思わず堪えていた嗚咽が洩れた。