きっと、君に怒られるだろうけれど



「……」


真剣味を帯びた瞳で、真っ直ぐに伝えられる想いに胸からグッと熱いものが込み上げてくる。

風が吹いて彼の艶のいい黒髪がふわり、と揺れた。


「俺ね、小芝さんの紡ぐ言葉が涙が出るくらい好きだ」


色素の薄い瞳がまろく弧を描いてお日様のように微笑む。

その笑顔を目に映した瞬間ドクン、と心臓が甘く跳ねた。

彼からわたしの言葉が好きだと言われるのは初めてではない。

付き合った頃も言ってくれていたから。
でも、またこうして好きだと言われるなんて思ってもいなかったから正直叫び出したいくらい嬉しい気持ちでいっぱいになる。


「……ありがとう」


つい緩みそうになる頬を抑えながら何とか絞り出した言葉はたった5文字だった。

感じ悪いだとか思われてないかな?と少し不安になるけれど、


「そうだ。小芝さんって文芸部とか入ってんの?」


彼はわたしの態度なんて気にする素振りもなく、会話を続ける。