きっと、君に怒られるだろうけれど



他にどんなに理由を探したって最後の最後に行き着くのは“彼が好き”だということだった。


『好きだけでこんな決断をするとはな』

『愛って深いんだよ。人を愛することで強くも弱くもなれる。その中で、こんなにも好きな人に会えたことがなんの取り柄もないわたしにとっては人生で一番の誇りなんだ』


人のことなんて好きになれないと思っていた。

荒れ果てた世界でたった一人、君に出会った。
真っ直ぐで努力を惜しまない、そんな君に惹かれていた。

わたしの人生は君と出会わなければもっと平凡で面白くもない人生だったと思う。

わたしはこの恋を忘れたくない。


『あともう一つ条件がある』

『なに?』

『三春櫂が目を覚ましてもお前のことは覚えていない。周りの記憶も改ざんさせてもらう。付き合っていたということは誰も知らないことになる』


櫂はわたしのことを忘れてしまっている。
だったら、わたしは半年間、彼に近づかない方がいいのかもしれない。


『そして、お前が代わりに死ぬまでの半年間で三春櫂に近づけば近づく程、お前が事故で亡くなった後、三春櫂の中でお前の存在は薄いものとなっていき、記憶が消される』

『え……?』