みんなが欲しがるようなおもちゃもゲームも、特段ほしいと思ったことはなくてわたしには物欲がないのだと思っていた。
だけど、彼だけは違った。
どうしても欲しくて、誰にも渡したくなかった。
わたしの寂しさを温かい愛情で満たしてくれた人。
わたしが何よりも大切にしたい人。
ずっとそばにいてほしいと本気で思った人。
誰よりも幸せになってほしいと願える人。
―――それが櫂だった。
暗闇の中を歩いていた私の手を取って、光の射す方へと導いてくれた底なしに優しい人なのだ。
だから……だから……。
『お願い……っ、助けてぇ……』
わたしはみっともなく死神の足に泣きつくように必死に頼んだ。
櫂だけは、わたしから奪わないで。
どんな終わりになったとしても彼だけは、生きていてほしい。
例え、もう君と一緒には生きられなくてもわたしは君が生きてくれててくれるならそれでいい。
『……分かった。叶えてやろう。その決断をしたのはお前が初めてだよ』
『え?』
『みんな、自分の命を優先する。人間は結局自分のために生きる人間かと思っていたけどそうじゃない人もいるんだな』
『そっか……でも、本当に大好きなの。ただそれだけだよ』



