きっと、君に怒られるだろうけれど



質のいい高級そうな漆黒のスーツに黒い革靴を履き、律儀にハットまで被っている黒ずくめの男性は少々焦り気味に話し出した。


『どういうこと……?』

『お前の願いを叶えてやる』


その言葉に嘘は感じられなかった。

もうこの際、夢だろうが現実だろうがどうでもいい。


『本当に……!?』


それなら櫂を……っ!
きっとわたしの祈りが神様に届いたんだ。

いや、来たのは神様じゃなくて死神だったけれど。
こんなのバカだと笑われるかもしれない。

だけど、今のわたしには目の前に突然現れた死神と名乗る彼を信じて縋りつくことしか残された道がなかった。


『ああ。ただし……条件がある』

『条件……?』


死神の口から出た言葉にドキリと心臓が跳ねた。
確かに何にもなしで願いを聞いてもらおうなんて図々しいにも程があるか。


『そうだ。それを呑めばお前の願いを聞いてやる』

『その条件って?』

『お前の願いの大きさによるな。願い事と相応のリスクを背負うことになる』


それは……大きな願い事をすればするほどわたしの身が危険に晒されるということなのかな?


『……じゃあ……櫂を助けてって言ったら?』