きっと、君に怒られるだろうけれど



櫂はわたしの生きる希望だった。
何もないわたしに“何か”をくれた人だから。


『お願い……っ、神様がいるのなら櫂を助けて……っ』


何か起こるわけでもないのにそんな祈りが口からこぼれ落ちた。
そんなとき、部屋の中が目を開けていられないほどピカッと眩しく光った。


な、なに……!?


何が起こったのかわからず、恐る恐る瞼を開くと目の前に知らない20代くらいの男性が立っていた。


『だ、誰?!』


なんで部屋の中に入れているの!?

戸締りはちゃんとしたはずだ。

わたしが驚いているのに顔色一つ変えずに『俺は死神だ』と当然のように言い放った。


『えっ!?』


し、死神……!?

わたしのイメージしていた死神はもっと細くて骸骨みたいで、マントのようなものを頭から被っているものだったから目の前の死神とはかけ離れているけれど、実際はこんな感じなんだろうか。


いや、そもそも現実世界に死神なんているわけない。

これは夢だ。

わたしが現実を受け入れたくないあまり、都合のいい夢を見てしまっているのだ。


『嘘じゃない。時間が無い。お前だろ?俺をここに呼んだのは』