きっと、君に怒られるだろうけれど



もしかして、と思いケースをパカッと開くと、わたしが欲しいと言っていた茶色い革ベルトの腕時計が入っていた。

そういえば、発売日は今日だった。
人気のデザインで値段も決して安くはないから諦めていたのに……。

櫂は何気なくわたしが欲しいと言ったものを覚えてくれていて、これを買うためにバイトまでしてくれていたんだ。


それなのにわたしは……。

“大嫌い“なんて言ってしまった。

最低だ。

自分のことが許せなくて、爪が食い込むほど強く拳を握る。

そして、紙袋の中に白い封筒が入っていることに気がついて封筒を開けると一枚の写真と二つに折りたたまれたメッセージカードが入っていた。


写真は中学の卒業式の時に撮った写真で、桜の木の下であどけない笑みを浮かべているわたしと櫂。
思わず、懐かしさで胸がぎゅうっと締め付けられる。

櫂のご両親に撮ってもらうのもよかったけれど、二人で撮りたかったわたしたちは三脚を立て、そこに櫂のカメラを設置してからタイマーを10秒に設定して撮ったのだ。

ああでもない、こうでもないと言いながら撮影した。もう戻れない大切な青春の1ページ。


続いてわたしはメッセージカードを手に取った。


どくんどくん、と自分のせわしない鼓動の音が鼓膜を揺らす。

ゆっくりと目を閉じて小さく息を吸ってから恐る恐るメッセージカードを開いた。

すると、そこには櫂からのわたしに対する深い愛が綴られていた。