きっと、君に怒られるだろうけれど



「まだ持ってたの?捨てていいって言ったのに」

「だーかーらー、捨てれるわけねえだろ」


眉間にシワを寄せ、ムッとした顔で少し不貞腐れたように言う。

そんな顔したいのはわたしの方なんだけどな。


「別にこんなのただの付箋じゃん」


何をそんなに大事にしないといけないの。
今朝も気に入ったとか言ってくれたのは嬉しかったけどさ。


「うららかな風吹く春の日、僕は君を見つけた。
世界を染めるあたたかい春色がそっと君を照らす。
桜のように消えゆく僕は、
君を包む春になりたい──」

「っ、」


思わず、息を呑んだ。

まるで春風のように優しく穏やかな声で紡がれた言葉は昨日わたしが考えて付箋に書いた言葉たちだったから。


「これ、書いた人のこと天才かと思った。心にすぅって入ってきて胸がぎゅって苦しくなるくらいなんか感動して訳わかんないくらい涙が出てきたんだ。だから、どうしてもその人が誰なのか知りたくて朝からずっと探してた」