きっと、君に怒られるだろうけれど



信じられなかったし、信じたくなかったからだ。


でも、ここに来たら否が応でも彼が事故に遭ったのだという残酷な現実を突きつけられる。

ベッドに横たわっていた櫂はわたしが先程まで会っていた彼とはまるで別人のようだったからだ。


呼吸器をつけ、身体中に色んな管が繋がれていて、頭には包帯が巻かれ、整った綺麗な顔は所々にガーゼが貼られていた。


どうしてこんなことに……。


思わず、そっと握りしめた手はまだ温かくて彼が生きているのだと教えてくれる。

だけど、その手も痛々しい傷がいくつもあって胸が鋭利な刃物で切り裂かれたようにズキリと痛む。


『美桜ちゃん……櫂ね、あともって数日らしいの……っ』


おばさんがハンカチで目を抑えながら震えた声で言う。


『そんな……』


頭の中が一瞬にして白く溶け落ちるような衝撃が走る。


嘘だと言ってほしい。

あと数日で櫂は死んでしまうかもしれないなんて。
もうあの大好きな笑顔には会えないなんて。

そんなの、あんまりだ。


『信号無視した車からね、小さい子を助けるために事故に……っ』


―――小さい子を助けた。