きっと、君に怒られるだろうけれど



寝坊するなんて疲れてたんだねって許してあげればよかった。

そしたら、櫂はあんな目に遭わなくて済んだのに。


わたしが家に着いてもずっとスマホは鳴っていて、櫂からの着信が何度も来ていたけど、すべて無視していた。

出る勇気がなかったのだ。
出たらまた余計なことを言って櫂のことを傷つけてしまうような気がして。

だけど、それがしばらくすると着信がピタリと止まった。

諦めたのかな。
嫌になって帰っちゃったのかな。

まあ、こんなことで記念日に怒って帰る彼女なんて面倒くさくて嫌になっちゃうよね。


『はあ……』


ぼすん、とベッドに倒れ込んで枕に顔を埋める。
頭の中でぐるぐると自分の言動を思い返して一人で反省会を開く。

どうせ後々めそめそするくせにどうしてあの時、素直に悲しかったって言えなかったのかな。
どうしてあんな思ってもない事を言っちゃったんだろう。

つくづく、自分の器の小ささに嫌気が差す。


それから一時間ほどが経ってわたしはベッドからむくりと起き上がった。

やっぱり……謝って今からでも会おう。
せっかくの記念日なんだから。

そう思い、机の上に無造作に置いていたスマホに手を伸ばそうとした瞬間、再びスマホがブーブーと震えて着信を知らせた。