きっと、君に怒られるだろうけれど



普段は好きとかあんまり言わないし、言わなくてもわかるかなって雰囲気になってしまっているけれど、今日くらいは恋人らしい雰囲気で楽しみたかったのに。


『帰るって……』

『櫂のことなんて大嫌い!もう帰る!』

『ちょっと待って!美桜!』


怒って感情のままに思ってもいないことを口にしたわたしは引き止める櫂の腕を振り払い、呼び止める声も無視して歩き出した。

ちょうど、信号が変わってあとを追いかけてきていた櫂と離れたけれど、家までの道のりを歩いている時も、涙は止まってはくれなかった。


わたしは、不安だったのだ。


最近は夜に連絡が返ってないことも多くて、櫂はわたしのことを本当に好きでいてくれているのかなという不安が消えなかった。

最初は言葉で伝えていたものが段々とお互いから消えていくのが怖かった。

一緒にいるときはすごく楽しいし、不安も消え去るのに、離れていると他の女の子と話している櫂の姿が頭に浮かんできて、不安に押し潰されそうになる。

面倒くさいと思われるかもしれないけど、それくらいわたしにとって櫂は大切な存在なのだ。


でも、あのとき帰らなきゃよかった。