きっと、君に怒られるだろうけれど



***


文化祭当日。

1日目の今日は在校生のみでの行われることになっている。


「2年A組はメイド喫茶でーす。どうですか~~?」

「みて!あそこはお化け屋敷だよ!」


教室を出ると、呼び込みの声や文化祭を楽しむ生徒たちの声があちこちから聞こえてくる。

いつもとは違う雰囲気の校内。いつもとは違う景色。

すれ違うみんなの表情はキラキラと輝いていて今のわたしには目を背けたくなるほど眩しかった。


みんな楽しそうだ。本当ならわたしもあんなふうに笑っていたんだろうな。

ダメだ。ここにいるとどんどん気落ちしてしまう。


わたしは一人になりたくて屋上へと歩を進めた。


―――ギィィ。


屋上の扉の錆びれた音も今ではすっかり聞き慣れてしまった。

それくらい屋上に来てるってことかな。

外に出た瞬間、ふわりと風が吹いて頬を撫でた。
ちょっと肌寒いな、と思いながら両手で腕をさする。


あんなに暑かった夏が去り、季節が秋に変わろうとしているなんて。


時の流れが早すぎて、瞬きしている間にあっさりと置いて行かれそうだ。


「あー……どうしよう」


誰もいないのをいいことに口からこぼれ落ちた言葉。


わたしは本当に写真部の展示会に行くかどうかまだ決められていない。

行くべきなのか、行かないべきなのか。

どちらが正解なのかがわからずに今日を迎えてしまった。