きっと、君に怒られるだろうけれど



「ごめんって。このお礼はあの世からするからさ」

「ったく、調子のいいやつだ」


なんて、言いながらもちゃんと頼まれてくれるんだ。


「ねえ、西神」

「なんだ」

「ありがとう」


今なら言えると思って感謝の言葉を口にすると、西神は驚いたように目を見開いて、すっと視線を逸らした。


「……別に俺は何もしてない」

「ううん。わたしのワガママな計画に付き合ってくれたでしょ」

「仕事だからだ」

「はいはい。それでもありがとね」


西神ってば、本当に素直じゃないんだから。
わたしから目を逸らしたのも恥ずかしいからなんでしょ。

西神という名前もわたしの見張り役として一緒に高校生活を送るというのでわたしがつけた名前だ。

いつか、西神が“死神”という役目から解放されて人として生まれ変わった時、どうか幸せな人生がそこに待っていますように。