きっと、君に怒られるだろうけれど



初めて会った時は一生恨んでやると思っていたけど、今はそんな感情なんてこれっぽっちもない。


むしろ、感謝している。


ここまでわたしはそばで支え続けてくれたことを。


「わたしに感謝してよね」


だけど、あいにくわたしは素直じゃないから言えない。

そんなわたしに西神はまたしても呆れた視線を向ける。


「とんだ営業妨害だ」

「はは、確かに」


人の命を奪うのが死神の務めなのに人に感情移入してしまっては仕事に支障をきたすかもしれない。

だけど、西神は本気で迷惑そうな顔はしていない。
彼はいつもめんどくさそうにするのになんだかんだわたしのことを見守ってくれていた。


「コレ、本当に渡さなくていいのか」


そう言って彼が取り出したのはわたしがこの前、西神に渡したものだった。

いつか櫂が言っていたことを思い出してなんとなくスマホで作ってみたもの。


だけど、本人に渡すことなんてできず、かといって捨てることもできなくて西神に捨てておいてと頼んだのだ。

全部、忘れてしまう君にわたしとの痕跡なんて何もいらない。


「うん。わたしが死んだら捨ててね」

「最後まで面倒なことを俺に押し付けやがって」