《文化祭の1日目、話したいことがあるから15時に写真部の展示会に来てほしい》


櫂からそのメッセージが来たのはついこの間のこと。

じっとスマホの画面と睨めっこしていたら「行ってやればいいだろう」と隣に座っている西神が呆れたように言った。


「いやー、話したい事って何?佑香ちゃんとのことは誤解だったって話?それは佑香ちゃんから聞いたじゃん」


中庭のベンチに座って、うなだれながらスマホの画面を落とした。

返事はしていない。既読はしちゃったけど。
だって、話すのが気まずい。

櫂は勘違いされたままだと思っているし。

まあ、先走って勘違いしちゃったのはわたしなんだけど。


あれから佑香ちゃんに『櫂に振られちゃった~~!パフェ食べに行くの付き合ってよ!』と連れ出されて彼女の口からあの日の出来事をすべて聞いたのだ。


彼女は笑っていたけれど、その笑顔は空元気って感じだったからきっとわたしの前だから気丈に振舞ってくれたんだろうな。


でも一つ新たな疑問が生まれた。

櫂の好きな人って誰なんだろう。

この疑問が解けることなく、わたしは死ぬ。
わたしに残された時間はもうない。