ただ、死神としての使命を果たさなくてはならない無念のようなものも同時に伝わってきた。
きっと、死神もずっとそばで見守ってきた美桜のことを大切に想っているはずだ。
そんな人をあの世へ連れていなければならないなんて。
心の中で必死で葛藤しているのかもしれない。
だからこそ、自分にできる最大限のこととして俺に話してくれたんだろう。
やっぱり、西神は悪い奴じゃない。
優しいやつだ。俺の目に狂いはなかった。
「わかった。話してくれてありがとう。お前はやっぱりいいやつだよ、西神。さすが俺の友よ!」
俺がそう言って笑うと、目の前の彼は大きく目を見開いてから呆れたように微笑んだ。
「友……か。お前はどこまでも変わらないな。お前が人から好かれる理由がなんとなくわかる気がするよ」
お前は前に人のことを想うなんてできないと言っていたけど、それは違うよ。
お前はもう人のことを想ってる。死神だとかそんなの関係ない。
西神は俺の大切な友達だから。
「俺、美桜にちゃんと気持ち伝える。好きだって言いたい」
美桜が死ぬということを受け入れたわけじゃない。
そんなの受け入れられるはずがない。



