きっと、君に怒られるだろうけれど



「小芝美桜は死ぬ。そしてお前は彼女のことは忘れてしまう。本人もそれは知っている」


胸ぐらを掴んでいた手からふっと力が抜けた。抑揚のない死神の声が今の俺の心には突き刺さるように痛い。

美桜も知っているのか……。
自分が死ぬことがわかっているなんてあまりにも辛すぎるだろ。


「美桜が死なない方法はないのか?なあ、お願いだよ。助けてくれ……見逃してくれ……それか代わりに俺が……だからどうか……彼女だけは……」


死神に縋りついたって無駄だってわかってる。

けれど、どうしても現実を受け入れられなかった。

いつか美桜がこの世からいなくなることも。
美桜という大切な存在を忘れてしまうことも。

何もできずにただ泣くことしかできない自分が無力で、情けない。


「残念だが、お前にできることは……最後の日まで小芝美桜のそばにいてやることしかない。それが彼女が決めた運命だから」


そんなのあんまりだ。

どうか、時間が永遠に止まってほしい。
ずっと美桜が生きていられるのならそれでいい。


「俺は忘れたくない。美桜のことを二回も忘れてしまうなんて嫌だ……!」


またこうして君を好きになれたのに。
新しい思い出だってたくさん作れたのに。