俺がずっと探していたのはやっぱり美桜だったのだ。
どうして俺が美桜を忘れてしまったのかはわからない。
事故の後遺症なのかもしれない。
美桜が俺に真実を話さなかったのは知ってしまったら俺が混乱するかもしれないという優しさだったのかな。
それなのに俺は何にも知らずにまた君を好きになった。
全ての記憶がある君はどんな気持ちで俺と話してくれていたんだろう。
どんな気持ちで俺と一緒にいてくれたんだろう。
少しの気まずさも見せずに気丈に振舞ってくれていたんだろうな。
―――ああ、もうどうしようもなく君が好きで愛おしい。
色々な感情がこみ上げてきてそれが涙となり、頬をつぅっと伝う。
「どうして俺だけが忘れてるんだ……っ。どうして……っ」
「それは言えない。契約内容までは話せないからな」
「本当に美桜は死ぬのか……っ?また俺は美桜を忘れてしまうのか……っ?なあ……っ!ふざけんな……!」
俺は死神の胸ぐらを掴み、涙で震えた声で叫んだ。
どうして自分だけが彼女を忘れてしまうのか。
彼女はそのことを知っているのだろうか。
俺は大切な人と過ごしたかけがえない時間はおろか、大切な人を忘れていることすら覚えていないなんて。
どこまでも情けない自分に腹が立って仕方がない。



