きっと、君に怒られるだろうけれど



色々な疑問が次から次へと頭の中に溢れてくるのにどれも声にはならない。


「俺の正体は西神という人間ではなく、死神だ」

「し……に、がみ?」


突然のことに頭がついていかず、言葉が途切れ途切れになる。

西神は人間ではないということなのか?
そもそも、死神って俺が知っている死神なんだろうか。

命を奪いに来るというあの死神?


「そうだ。信じられなくても当然だろうが、これは事実だ」


そう言うと、西神は中指と親指でパチンと音を鳴らした。

すると、目の前にいたはずの西神がいつの間にか黒いスーツを着た成人男性へと姿を変えていた。

これが死神なんだろうか。
本来の西神の姿なのか……?


信じたくなくてもこうも目の前で見せつけられると、彼は死神なのだと信じざる得ない。

だけど、死神と美桜が一体なんの関係があるんだよ。


「わ、わかったから……」

「もうすぐ、小芝美桜は死ぬ」


心臓がどくん、と嫌な音を立て、背筋が凍りつく。


「は?」


美桜との関係性を聞く前に西神……死神は表情を一つも変えることなく、さらりと言い放った。

頭から水を浴びたように何も考えられなくなって頭の中が真っ白になり、全身の力が抜けてガクリと膝から崩れ落ちた。


美桜が……死ぬ?


ありえない。
今日だって元気に生きていたのに。

そんなの嘘だ。信じらない。信じたくない。