きっと、君に怒られるだろうけれど



それが聞きたくて呼び止めたとか?

西神の考えていることはいつもわからないけれど、今日はとくにわからない。


「どうなんだ」

「好きだけど、それがどうしたんだよ」


やけくそのように言ってしまった自分の心の狭さに呆れてしまう。

これじゃあ、まるで小学生のガキみたいじゃねえか。


「全部、忘れても小芝美桜のこと好きになるんだからお前たちの愛は本物だな」


その刹那、西神はふっ、と口唇を緩めた。

今まで見たことがない優しいその微笑みに俺は目を見開いて驚いた。

そんな顔して笑えるのにどうしていつもはあんなに無表情なんだろうか。

そう思ったけれど、すぐに違う疑問に思考が支配された。

彼が今言った言葉の意味が俺には理解できなかったのだ。


全部忘れても?俺たちの愛が本物って?

どういうことなんだろう。

西神は何か知っているのだろうか。

それにさっきからなんで美桜のことをフルネームで呼ぶんだろう。


「……どういうことなんだ?」

「本当は契約のことは誰にも話さないのが決まりだが、あまりにもお前たちが不憫だから教えてやろう」

「契約……?」


なんなんだ、それは。

俺たちが不憫って……?

一体、西神は何者なんだ。