きっと、君に怒られるだろうけれど



「話ってなんだよ」


重たい沈黙に耐えられなくなった俺はそう話しかけた。

その言葉に西神が立ち上がってふう、と息を吹き出す。
そして、覚悟を決めたようにゆっくりと瞬きをした。

長い前髪の間から覗く彼の双眸にはやっぱり光は宿っていない。

それにその瞳に見つめられると途端に身体が金縛りにあっているかのように動かなくなってしまう。

でも、俺はなぜだか目が逸らすことはできなかった。


何を言われるのだろう。少し身構えてしまう。


そんな張り詰めた空気の中で西神が口を開いた。


「小芝美桜のことが好きなのか?」

「え?」


思ってもいなかった質問に拍子抜けした声が洩れた。