数日後の放課後。

あれから運悪くすぐに席替えをすることになり、美桜とも離れてしまい、なんとか話しかけようとしてもぎこちない笑みを返されて誤解もとけていない。

そんな勘違いをされたままの状態の日々が続いていた。


このままじゃいけない、そう思うのに俺の頭の中もぐちゃぐちゃになっていて何も整理ができていない。

今日はあいにくの雨でただでさえ憂鬱なのにどんよりとした灰色の重たい雲を見ていると、もっと憂鬱な気持ちになる。

すっきりしない気持ちを抱えたままでぼうっとしていると、気が付いたら教室にいるのは残り数人となっていた。

はあ、そろそろ帰ろう。

こんなところにいても、もう美桜は帰ってしまったからどうすることもできないし。


「三春、ちょっといいか」


帰ろうと席を立った瞬間、珍しく西神に話しかけられた。


「え、あ、うん」


まさか西神から話しかけてくるなんて思ってもいなかったから動揺が丸出しの返事になってしまった。

それでも西神の表情はぴくりとも崩れることはなかった。

一体なんの話をされるのだろうと一瞬考えたけれど、その答えに俺はすぐに辿り着いた。
きっと美桜のことだろうな、となんとなく想像がついたからだ。