いつの日にか君のノートに書かれていた計画の内容。

美桜の好きな人は西神で、西神を幸せにするために立てた計画なんじゃないのか。


―――たとえそばにいるのがわたしじゃなくても彼に幸せになってほしいから。

―――こんなに好きになれる人なんてこの先きっと現れないって本気で思っちゃうくらい好きなんだ。


本当に愛おしそうな表情でその人のことを話していた美桜を思い出してぎゅうっと胸が切なく疼いた。

それなのに、どうしてその幸せにしたい人の胸の中で見ているのが苦しくなるくらい悲痛に満ちた表情で泣いてるんだよ。

それに、美桜の言い方だとまるでその幸せにしたい人が俺のことのように聞こえてしまって勘違いしてしまいそうだ。


「……ああ、お前は頑張った」


そう言った西神の表情はやるせなさが滲み出ていた。

あんな顔をする西神が見たことがない。
一体、どういうことなんだ。

誤解を解くつもりだったのに俺まで混乱してしまって冷静になることができない。

何が何だかわからなくなって俺は二人から視線を前に戻して、ずるずるとその場に力なくしゃがみ込んだ。


―――君に幸せにしたい人がいるように俺も君のことを幸せにしたいと本気で思ってるくらい君を想う気持ちは誰にも負けないのに。