おとぎ話の中でシンデレラが王子様ともう一度出会えたのは彼女が落とした靴を王子様が街中の女の子にその靴を履かせてみたからだそう。


もしも、今の自分をシンデレラに例えるのならわたしは魔法が解けた、ただの女の子。


少し前までは特別な魔法にかけられて、自然と頬が緩んでしまうような幸せな日々を過ごしていたけれど、魔法が解けた今、また君と……なんてことは現実のわたしにはありえないから。


だって、君はおとぎ話に出てくる王子様みたいに街中の女の子にこれはあなたのですか?と聞いて靴を履かせないだろうし、そもそもわたしは靴なんて落としてはいない。


所詮は女の子の誰もが夢見るおとぎ話の世界の話。


現実世界とはまるで違う。
現実はそんなに甘くない。


わたしと君が再び交わる世界線はゼロに近い。


また魔法使いがわたしに魔法をかけてくれないかな、なんてそれも都合のいいこと。


でも、もし……もう一度わたしの前に魔法使いが現れたとしてもわたしではなく君に【幸せになる魔法】を全力でかけてもらう。