美桜の後を追いかけて飛び出したはいいものの、俺は今校舎の壁から彼女を見つめていた。
なぜなら、美桜が中庭で西神の胸元に顔を寄せて泣いていたからだ。
なんで……なんで美桜は泣いているんだ?
どう見ても嬉し泣きなんかには見えない。
だとするなら、どうして美桜が泣く必要があるんだ。
「だからやめろって言ったんだ……」
「これでよかったんだよ……っ」
ここからだと二人の会話も鮮明に聞こえてくる。
盗み聞きをしてしまって申し訳ないけど、俺が今いる位置からだと二人に気づかれずに去ることはできないのだから仕方ない。
二人の声からは重たい空気しか感じられない。
二人の様子がどうしても気になってチラリと盗み見た。
西神の胸元で美桜が小さな子供のようにわんわんと声を上げて泣きじゃくっている。
それを見ているだけで胸が張り裂けそうなほど痛む。
「ねえ、わたし……頑張ったよね……っ。ちゃんと計画実行できたよね……っ」
涙で震える声で美桜は確かにそう言った。
だけど、俺は美桜の言葉に自分の耳を疑った。
だって、計画を実行できたって……?
①君に話しかけて仲良くなる
②君に幸せになってもらう
③君の夢への背中を押す



