頭の中が擬音でいっぱいになりながら首を傾げた。
「ちゃんと佑香ちゃんに説明しないと誰かに取られちゃうよ!佑香ちゃん可愛いんだし!」
前のめりで語りかけてくる美桜はなぜか少し怒っている。
取られちゃう……?可愛い……?
いや、確かに幼なじみから見ても佑香は整っている方だとは思うけど、別に取られても悔しいなんて気持ちは芽生えないし、むしろ“おめでとう”という祝福の気持ちでいっぱいになるだろう。
それなのに、どうして美桜は……。
もしかして俺の好きな人は佑香だと思ってる……?
「いや、俺が好きなのは……」
―――キーンコーンカーンコーン。
俺が否定しようと言葉を発した瞬間、教室にチャイムが鳴り響いた。
タイミング悪すぎるだろ。
こんなにもチャイムが恨めしく思ったのは初めてだ。
それから担任が来てHRが始まり、俺が美桜の勘違いを訂正する機会は訪れなかった。
***
「もうすぐ文化祭だが、写真部として自信作である一枚を各自、展示することにしたからなー」
美桜にちゃんと訂正することができなかったとうなだれていた放課後。
部室で顧問の先生がそう告げた。
「写真の展示……?」
「まじ……?」



