「いつか父さんたちにも櫂が撮った写真をたくさん見せてくれ」
「もちろん」
いつか夢を叶えて大切な人たちに俺の撮った写真を見てほしい。
きっとそれを見て君は満開の桜のような笑顔を浮かべてくれるんだろう。
想像するだけで高鳴る鼓動を鎮めながら、また君への想いが増したことを自覚した。
***
翌日。
悩んでいたことが解決してスッキリしたからなのか目覚めが一段とよく、母さんたちに驚かれ「あんたって子はほんとに単純ね」と少し呆れられた。
そのせいでいつもより早めに学校に着いてしまったけれど、教室に入って彼女の姿が視界に入るなり、心の中でガッツポーズをした。
早起きは三文の徳ってまさにこういうことを言うんだろう。
「おはよう、美桜」
俺はさっそく彼女の隣の席に腰を下ろし、声を掛けた。
「おはよう、櫂。その顔は解決したっぽいね」
美桜は俺の顔を見るなり、くすりと小さく笑った。
そんなに俺ってわかりやすいんだろうか。
なんて、思いながらも一番に美桜に伝えたくてたまらなかった気持ちを声にする。
「うん!無事に許してもらえた。全部美桜のおかげだ。ありがとう」
美桜がいなかったらきっと諦めてしまっていた。



