きっと、君に怒られるだろうけれど



「俺さ、嬉しかったんだよね。父さんと母さんの二人並んだ写真を撮った時とかに二人が褒めてくれたこと。

まだ小さくてきっと上手く撮れてなかっただろうけど、すごい褒めてくれたじゃん。

大切な父さんと母さんの笑顔がいつまでも思い出として残ってるのが、

その思い出を残せたのが自分だって思ったら嬉しくなってさ、そこから写真が好きになったんだ」


こんな俺でも大切な人の、

知らない誰かの、

今しかないその瞬間を、

二度と見れない景色を、

誰かにとっての大事な思い出を、

残すということができるのだという事実が幼かった俺の胸を震わせたのだ。


それを教えてくれたのは父さんと母さんだから。
二人にはちゃんと俺の気持ちを知っていてほしい。

写真を好きになったきっかけなんて正直忘れかけていたけれど、美桜に出会って思い出した。

そして、改めて自分は写真が好きなのだと感じた。


何も言わない二人に俺は必死に言葉を探して


「ここで諦めたらきっと一生後悔すると思う。だから、どうか俺に夢を叶えるチャンスをください……!」


と頭を下げた。