へらりと笑いながらそう言って、体を起こした。


「おー、美桜って見かけによらず、結構怖いこと言うのな」

「わたしは本気だからね」


そう言いながらグッと拳を櫂の方へ向ける。


「そりゃあ、心強いわ」


にっこりと微笑んだ櫂にもう迷いはなかった。


「よし、じゃあ相談料としてコンビニでアイスおごりね」


君に幸せになってもらうために頑張らないといけないのに未だに君との思い出に縋りついているわたしは気づけばそんなことを言っていた。

またわたしの口は勝手に余計なことを言ってしまっている。

ほんとに困ったやつだなあ、と自分で呆れてしまう。


わたしは櫂とコンビニで買ったスイーツやお菓子、飲み物をビニール袋に入れて片方ずつ持って他愛もない会話をしながらフラフラと歩く時間が好きだった。

どちらかが持つんじゃなくて二人で持つことで重さを分かち合える気がしてなんだか嬉しかったんだ。


あの頃みたいにもう重さを分かち合うことはできないけれど、あと少しあと少しだけそばにいさせて。


「え、そんなんあんの」

「うん!てことで、放課後行くからよろしく!」


いつの間にか逞しくなった背中をポンッと軽く叩いた。

わたしはちゃんと君の背中を押すことができたかな?


今のわたしにはそれだけしかできない。
願うことしかできない自分がもどかしい。

だって、その未来にわたしはどうやっても辿り着けないから。


―――どうか、君が生きる未来が明るくあたたかな愛情と優しさで溢れたものでありますように。