「そっか。なんかあったらすぐ言ってね!」
「うん、ありがとう」
彼と友達になるのは二度目。
そのことを知っているのはクラスメイトの西神だけ。
誰も知らない。知られちゃいけない。
正直、辛くないと言えば嘘になる。
本当はもう一度誰よりも一番近くて、大好きな君をいつまでも見ていたい。だけど、わたしにはできない。
わたしと君では難しいことが多すぎるみたいだから。
先程から特に視線を感じていた方を見ると、西神が感情の読めない表情で、じっとわたしのことを見ていた。
“なに”と口パクで伝えると、顔色ひとつ変えずに“別に”と口パクで返ってきた。
なんなのよ、アイツ……。
それから一日が始まるチャイムが鳴った。
何故だかいつもよりも授業内容が鮮明に耳に届いて、眠たくなる授業だって一度も眠ることなくやる気満々で過ごせたのはきっと君と過ごす放課後が楽しみでたまらなくて目が冴えてしまっていたからだ。



