きっと、君に怒られるだろうけれど



現に彼の周りにはいつも温かい愛と優しさで溢れている。


そんな誰もが羨むような優しい彼と付き合えていたわたしはずっと彼が自慢だった。


何もないわたしが唯一自慢できたのが彼の存在で、すごく、すごく好きだった。


どうしようもなく好きで、溢れそうになる好きを一滴足りともこぼさないように必死で抱えていたのだ。


「ねえ、美桜!すごいじゃん!あの三春くんとアタックされるなんて!友達になろうって!」


彼が去った後、一部始終を見ていた友達がすぐにわたしの元へ駆けつけてきて興奮気味に話しかけてくる。


「わたしもビックリした!でも、まあどのみち友達にはなろうと思ってたからよかった!」


彼の幸せを見届けるためには友達になることが必要だった。

だから、これはラッキーだよ。
神様がわたしに味方をしてくれているのかもしれない。


「そっかぁ。でも三春くんだとライバル多そうだよね。大丈夫?」


心配そうに眉をへにゃりと八の字に下げながらわたしの顔を覗き込んで尋ねてくる。


「全然大丈夫だから心配しないで!ていうか、そういうつもりじゃないし!」


彼女に心配をかけさせたくないわたしはそう言い、精一杯の笑顔を作る。