「ありがとう。よろしくね」
「お前、よかったな!探してた人が見つかって!まあ、それが小芝さんだったっていうのがビックリだけど」
濱田が櫂の肩に腕を回して、ニコニコと愉快に笑って嬉しそうに言った。
「うん、まじでよかった」
櫂は濱田にほっとしたような安堵の表情を向け、わたしからどんどんと離れていく。
これで話は終わりかな、と思い小さくなっていく背中を何とも言えない寂しさを感じながら見つめていると、何を思ったのか急に彼が振り向いて、
「放課後、屋上で待ってる」
と、だけ一方的に告げると再び友達の輪の中に戻っていってしまった。
そんな一方的な約束なんて押し付けてきて、わたしに予定があったらどうするのよ。
本当にそういうところ、変わってないよね。
真っ直ぐで、自分の気持ちに羨ましいくらい素直で、それでいて、まるでポケットティッシュを配るみたいに優しさを人に与えることが当たり前にできる。
そんな彼が人から好かれないわけがなかった。



